離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました
prologue
ベッドのスプリングが跳ねて、着地した背中が弾む。
「達樹さん、待っ──」
間髪を入れず目前に迫った彼の唇が、私の声を無視して深く口づけを落とした。
強引で噛みつくような勢いのキスなのに、唇が強張ったのは驚いたほんの一瞬だけ。
触れ合うとすぐに唇を開き、彼の熱い舌を迎え入れてしまう。
「っ……ふっ、ん……」
彼に口内を侵されるこの感覚自体が、気持ちよくてたまらない。
舌を差し出すとじゅっと音を立てて吸い上げられた。
キスに意識を取られているうち、ブラウスのボタンが器用に上から外されていく。
中に着ているキャミソールが現れると、その裾から彼の温かい指先が侵入した。
「あっ……」
つうっとあばら骨を上がり、身に着けるブラのワイヤー部分に指がかかる。
じらすようにしてその指は背中に回ると、慣れた手つきで留め具を簡単に外してしまった。
締め付けから解放されると、何もなくなった背中を大きな手に撫でられる。 肩甲骨に触れ、背骨をたどる。
ぞわぞわと何かが這い上がるような感覚に肩を震わせると、達樹さんは再び深く唇を重ね合わせた。
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