離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました
「あー……うん。まぁ、それなりには」
達樹さんとは大きなトラブルやケンカもなく、思った以上に上手くやれている。むしろ、夫婦らしい関係を築けているとさえ思える。
だけど、離婚すると騒いでいた手前、上手くやれているとは言いづらい。
それに、約束の一カ月まであと二週間。もう少し……。
「そう。でも、よかったわ。もう離婚するしか道はないと思ってたけど、達樹さんが帰国されて上手くいってるなら、私たちも安心よ」
「うん……」
離婚をするという騒ぎで、両親にも散々心労をかけてきた。
はじめは早まらずよく考えなさいと言っていたものの、私の頑なな態度に反対できなくなったのだと思う。
『それでみのりが幸せなら』
最後はそう言って、私の決断を尊重してくれていた。
「実はね、一昨日の夕方、達樹さんが訪ねてきたのよ」
「え……?」
達樹さんが?
一昨日はたしか当直の日で、夕方いつもより少し早い時間に出かけて行った。
出勤前にここに来てたなんて知らなかった。