離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました
あの様子だと、両親的にはやっぱり私の離婚には賛成ではないってことだよね……。
お昼までの診療の手伝いを終え、マンションに帰宅。時刻は午後二時を回ったところだった。
ティーバッグで簡単に紅茶を淹れ、帰り道に駅前のパン屋で買ってきたチョココロネをひとり食す。
達樹さんが帰国したあの日、離婚届を書いてもらうと出かける私を、両親は揃って切なげな顔で見送った。
それでも私の意思は固く、離婚をするという考えしか頭になかった。
それが一転。その日は帰宅せず外泊するという連絡を入れたのだ。
両親はきっとどういうことだろうと混乱したに違いない。
結局、達樹さんは病院からの呼び出しでその晩は一緒には過ごさなかったけれど、翌日は丸一日を一緒に過ごした。
離婚すると出ていった娘が翌々日に帰ってきて、両親は一体どうなったのかと私に詰め寄った。
一カ月の猶予を欲しいと達樹さんから言われたことを話したときのふたりのホッとしたような顔は、未だに忘れられない。