離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました
約束の一カ月まで残り二週間。
離婚しないという結末は果たして有り得るのだろうか……?
達樹さんは離れていた一年を挽回しようと、私との時間を極力作ってくれている。
離婚を望んでいる私の気持ちを変えようと努めてくれているのは物凄くわかるし、誠意も伝わってくる。
けれど、その努力を酌んで離婚を引き下げるのは違うと思っている。
離れていたこの一年、自分がどれだけ寂しい想いをしたのか。離婚を決断するほどの想いをしたこと、それを忘れてはいけない。
離婚を取りやめたのち、もしまた同じような寂しい想いをしたらどうしようと怯える気持ちもある。
もう、結婚しているのに寂しいなんてあんな想い、したくない……。
「──みのり?」
「……っ、あ、達樹さん。お帰りなさい」
ぼんやりとちぎったチョココロネを見つめながら思いを巡らせていると、いつの間にか帰宅していたらしい達樹さんに声をかけられ肩を揺らした。
振り返ると同時、頭の上に達樹さんの大きな手の平が載ってくる。
「帰ってたのか」
「あ、はい。少し前に」
「準備、ちゃんとできてるみたいだな」