離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました
「わぁ……綺麗」
庭園に出ていくと、夕方チェックインしたときとはまた雰囲気の違う光景に感動の声を上げてしまう。
ライトアップされた美しい庭園は、神秘的で眺めているだけで心が洗われる。
「あ、達樹さん、あそこの池に鯉がいっぱい泳いでますよ」
見に行きたくて繋いだ手を引っ張ると、達樹さんは「みのり、足元気をつけて」としっかりと手を握り直してくれる。
「はーい。大丈夫ですよ。わっ、思った以上の数がいる」
池の横に小さな看板がひっそりと立ててあり、その絵と文字に釘付けになる。
「達樹さん、体にハートの模様がある鯉がいるみたいです」
「え? へぇ、背中のところか」
「探してみましょう!」
白い鯉の赤い模様がハート形に見えるらしく、それをふたりで探し始める。
「みのり、あれそうじゃない?」
「え、どれですか?」
「ほら、あの黒と白の鯉の向こうの」
「……。あっ、本当だ! あれですね!」
ハートの鯉を見つけて大はしゃぎ。
笑い合いながら、ふと、心から楽しんでいる自分がいることに気がついた。