離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました


「……ハンバーグが食べたいです。とろっとチーズがのってるやつ」


 そう言うと、達樹さんは一瞬ホッとしたような表情を見せた。


「良かった。ハンバーグなら俺でもなんとか作れる。難しいのがきたらどうしようかと思った」


 どうやら今のホッとした顔はそういう意味だったらしい。


「え、本当に作ってくれるんですか? あ、じゃあ一緒に作りましょうよ」


 結婚生活のやりたいこととして、一緒にキッチンに立つことも挙げた。

 達樹さんが作ってくれると言うなら、一緒にキッチンに立ちたい。


「たまには休んだらって思うけど、一緒にやるの?」

「はい。一緒にハンバーグこねましょう」

「わかった。みのりは、今日は華道の教室に行って帰宅?」

「はい。あ、あと、実家の近くの『Palm Coffee』で友達と会う約束があるので、それが終わり次第買い物して帰りますね。何買ってきたらいいですか?」


 一緒に夕食を作るという予定ができて、ワクワクが声を弾ませる。

「そうだな……」と考える達樹さんの顔を見つめながら、早く夜になればいいなと密かに思っていた。

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