離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました
目を覚ますと、体がまだ火照っているような感じがした。
乱れた広いベッドには自分ひとりで達樹さんの姿はすでになく、カーテンの隙間からは眩しい陽の光が射し込む。
逃がさないと言わんばかりに何度も激しく抱かれたことを証明するように、胸元や太腿の内側には彼の残した赤い痕が何個も残されていた。
もっとちゃんと話したい。
そんな思いでベッドルームを出て行ったものの、どこにも達樹さんの姿はなく、見つけたのはダイニングテーブルの上に置かれた二枚の紙。
私を抱きながら彼が破いた離婚届は、テープで補修され置いてあった。
その横には、ひと言『ごめん』というメモが残されている。
ごめんって、昨夜のこと……?
それとも、もう私とはやっていけないってこと……?
離婚の意思を相談していたなんて知って、達樹さんはいい気がしなかったに違いない。
今になってもし逆の立場だったらと考えて、いい気がしないことに今更気がついた。
あっ君のことを異性として見ていないと言ったところで、達樹さんにとってはそんなこと知ったことではない。
嘘をつきたくなくて全て知らせたことが仇となってしまった。