離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました


 リビングに置きっぱなしになっていたバッグからスマートフォンを取り出す。

 メッセージアプリを起動すると、たまった広告に紛れてあっ君からメッセージが届いていた。

 昨日、達樹さんに連れ帰られたあとに入ってきていたようだ。


【大丈夫だったか? 話したいこと話せなかったから、改めて会ってほしい。実はもうすぐ海外支社に転勤になったから、できればその前に】


 私の話に内容が脱線して、あっ君の会って話したいという内容は結局聞けずじまいだった。

 メッセージの後半、転勤の話には驚く。

 どのくらいの期間日本を離れるのかはわからないけれど、その前に私に会って話したいことなのだろう。

 でも、達樹さんのことを考えるとあっ君と会うことはどこか気が引ける。

 ……ううん、でも、私の今の気持ちはあっ君に伝えて、安心して海外に行ってもらいたい。

 気持ちが固まるとすぐに返信のメッセージをつくる。

 しばらくして返ってきたメッセージには、次に会って話せるのは六月十日だという内容が書かれていた。

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