離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました
epilogue
久しぶりに送ったメッセージは、すぐに既読がついた。
すぐに返ってきた返事は【了解】のひと言だけだったけど、応答してもらえたことにひとまずホッと安堵した。
この間一緒にできなかった夕食のハンバーグ作り。
最後になってしまうかもしれない今日、一緒にできたらという思いでお使いを頼んだ。
最後になんてしたくない。
一か月前の私が見たら、今の私の気持ちは間違いなく信じられないだろう。
でも今は、今日で別れるなんてことは考えられないし、考えたくない。
その可能性があることを考えたとき、空虚な気持ちに襲われて自然と涙が溢れかけた。
空港まで行って騒いだ私が離婚を取りやめたいなんて言ったら、達樹さんはどう思うだろう。
何を今更と、呆れるだろうか。
それでも、あれから一カ月、私の気持ちがどう変わったのか、最後になろうとも達樹さんに伝えたい。
テープで補修された離婚届を前にダイニングテーブルにひとりかけていると、玄関に人の気配を感じる。
椅子から立ち上がりその場に立ったまま、十日ぶりに会う達樹さんと対面した。