離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました
襟ぐりから手を滑らせ、ブラウスが肩から脱がされていく。
指先で腕をなぞり脇腹をたどると、キャミソールの胸元にその手がたどり着いた。
ハッとして自分を見下ろし、胸の膨らみを包み込んだ骨張った男性の大きな手を目の当たりにする。
自分の身に起こっている信じられない状況に、頭の中は真っ白で何も考えられなくなった。
「達樹さん、あの、待って──」
私の声とはもるようにして、どこからともなくスマートフォンの着信音が鳴り響き始めた。
私のデコルテに口付けていた達樹さんは、顔を上げると小さく息をついた。
スラックスのポケットから鳴り続けるスマートフォンを取り出し画面に目を落とすと、黙ってベッドを下りていく。
「悪い、出る必要のありそうな電話だ」
「ど、どうぞ出てください」
電話の応対を始めながらベッドを離れていく達樹さんを横目に、慌てて体を起こしはだけたブラウスを胸の前で合わせる。