離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました

Side Tatuki



 本来なら明後日に出勤するはずだった病院からのオンコールで、ひとりホテルからタクシーに乗り込んだ。

 帰国したばかりの俺に連絡がくるのは最終手段に近いものがあるが、大規模事故の発生と聞いて致し方無い判断だったと察した。

 帝慶医科大学病院内にある高度救命救急センターに入局して早五年。

 一九七一年に救急医療センターとして発足し、その二年後の一九七三年に救命救急センターに認定された第三次救急医療施設であるうちのセンターは、発足して丸五十年になる。

 外傷外科、重症救急疾患、脳蘇生、広範囲熱傷や急性中毒などの専門スタッフを擁し、主に東京消防庁からの三次救急施設に搬送を選定された患者を昼夜問わず二十四時間体制で受け入れている。

 その他にも近隣の医療機関からの紹介患者、院内各科、救急外来よりの重症患者の診療にもあたっている。

 外傷外科を専門とする俺は、主に事件事故に遭った緊急性の高い重症患者の治療に日々あたっている。

< 40 / 145 >

この作品をシェア

pagetop