離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました
古くからの友人の、ひとり娘だと父親からは聞かされていた。
突然なぜこんな話が降って湧いたのかは謎だったけれど、話を聞いていけば要は家同士の政略結婚のようなものだった。
後継ぎのいない川崎家が、みのりの祖父が開業した病院を存続させるため、うちの両親に相談を持ち掛けた。
元々は誰か娘と縁談が持てる医師がいたら紹介してほしいという相談だったらしいが、そこにうちの両親が逆に話を持ち掛けたのが見合いをするきっかけになったようだった。
見合いをして結婚をする。
自ら恋愛結婚でもしない限り、いつかはそんな話を持ち込まれる人生だと漠然と思っていた。
みのりとの縁談を持ち掛けられた時、ただそれがやって来たのだとその程度にしか考えていなかった。
見合いをし身を固め、そのうち子どもが生まれ家族が増える。
よくあるそんな人生を普通に送れれば、それなりに幸せと言えるだろう。
深く考えず、その程度で臨んだ見合いだった。
しかしその日、ふたりきりで話したみのりから、思いもよらない言葉を掛けられた。