離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました


「とりあえずシャワーを浴びてくる」

「あ、はい。わかりました」


 去って行った後ろ姿を、まだ起きたてでぼやぼやしている目で見送る。

 そこで寝起きの自分の姿にハッとし、ベッドを飛び起きた。


 やだ私、ノーメイクの寝ぐせ爆発頭なんじゃ……!?


 達樹さんがシャワーから出てくる前にはなんとか自分の姿を整えておこうと、すぐにホテルのルームウェアを脱ぎ着替えを始めた。

 スイートルーム備え付けの豪華なドレッサーでメイクをし、髪はトップを緩く編み込んでハーフアップになんとか整えた。

 寝ぐせがついてなかったのが幸いだけど、柔らかくまったく癖のないストレートヘアは、いつも毛先と前髪だけ軽くアイロンでカールをつけている。

 こしも無くぺたんとしてしまうから、ふんわりさせないとすごく幼く見えてしまうのだ。

 ドレッサーの前で自分の姿を覗き込み、ひとり「よし……」なんて言っていると、近づく気配に気が付いた。

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