離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました
「可愛い……すぐ真っ赤になるんだな」
鏡越しに意地悪な達樹さんの表情を目撃してしまい、更に赤面は深刻さを増す。
「ふ、服を着てください!」
苦し紛れにそう言って台の上に視線を伏せた私をまたクスッと笑い、達樹さんは「はいはい」とやっと腕から解放してくれた。
昨日から達樹さんにたじたじで、ドキドキさせられっぱなし。
こんなことでは、一緒に住んだら私の心臓が激しく動きっぱなしで故障するんじゃないかと思ってしまう。
「準備はできたのか」
「あ、はい、一応」
「じゃあ行くか」
達樹さんに誘われて向かったのは、スイートルームのフロアを出てエレベーターで更に上がった上階のフロア。
そこは、スイートルーム利用者専用のサロンとなっていて、朝食を用意してもらえる席が用意されていた。