離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました
「空にどんな恨みがあるんだって睨み方。こんな快晴なのに失礼だな」
空はこんなに気持ちいい晴天なのに、私の心は真逆の状態。
どんよりを通り越し、黒い空に土砂降りの雨だ。
「でも、今日それを渡してきたらすっきりするだろ」
私の飲むアイスカフェラテの横に広げた紙切れを眺め、あっ君はコーヒーの入るカップを手に取る。
緑で印字された〝離婚届〟の紙には、右側の妻の部分に私の名前がすでに記入されている。
「うん! 今日こそすっきりするつもり」
そう力強く言うと、あっ君は仕方なさそうにまた苦笑を浮かべた。
婚姻届を提出したのは、今からちょうど一年前──。
親が勝手に進めたお見合い話で、私は七歳年上の曽我達樹という男性と結婚することになった。