離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました


「あ、おかえりなさい」

「ただいま」


 今日はグレーの薄手ニットに細身のブラックデニムというシンプルな服装で仕事に出かけていた達樹さん。

 ここ一週間見ていると、基本的には私服で出勤をしていくようで、そのうちの一日だけスーツを身に着けて出かけた日があった。

 話を聞けば、病院に着いてからスクラブスーツに着替えるため、通勤はみんな各々好きな格好で出勤するという。

 達樹さんの服装はシンプルなものが多いけれど、身長がありスタイルがいいから何を着ても決まっていて、ついぽうっと見惚れてしまうことがある。

 病院でスクラブスーツや白衣を身にまとっているときは、さぞかしカッコイイのだろう。


「はい、お土産」

「え、なんですか?」

「開けてみたら」


 パステルグリーンの小さな紙袋を手渡され、口から覗くと何かケーキでも入っていそうな箱が見えた。


「え、なんだろう?」


 リビングに向かう達樹さんのあとに続き、ダイニングテーブルまで運ぶ。

 紙袋の中から取り出した白い箱を開けてみると、中には可愛らしい動物の顔を象ったデコレーションケーキが四個入っていた。

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