離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました
恋愛経験もろくに無く、お見合いをして結婚をしたみのりにとって、本当に何事も俺が初めての相手だった。
ファーストキスもヴァージンも。
彼女の一生に残る大事な初めてを捧げてもらった。
初めてみのりを抱いたあの日、ぶっ飛びそうになる理性を保つのにただただ必死だった。
自分の欲望をむき出しにして少しでも彼女を怯えさせるようなことをすれば、確実に離婚への気持ちに拍車をかける。
それだけはしてはいけないと自制した。
しかし、それは簡単なことではなかった。
柔らかく吸い付くような白い肌に、触り心地のいい絹のような髪。
触れれば体を震わせ、甘い声で啼くものだから、暴走しそうになる自分を何度も引き留めていた。
絶対に焦ってはいけない。
そう何度も自分に暗示をかけ、一晩ではなく数日かけて初めてを経験させた。
その日から当直で家を空けた日以外、毎夜みのりを抱いている。
気持ちを取り戻すことはもちろん、体でも繋ぎとめたい。
昨日は映画鑑賞中に出来心でイタズラをしたら、彼女の反応に思わずスイッチが入ってしまった。
横で映画が流れるままソファで覆い被さると、みのりは「こんなところで」と体を熱くして甘く啼いた。
昨日もやばかったな……。
「曽我」
昨晩の記憶に頭の中がピンク色になっていたところ、現実に引き戻される声がかかった。