どうしているの?ねぇ、先輩…
「あぁ、大ちゃんとこにもいった?あず、これから焼肉食べ放題行くっつって超浮かれてんのな」
「え、焼肉食べ放題!?なにそれ俺もそっち行きてぇ!」
「は?お前がラーメン食いたいっつったんだろ」
「500円のラーメンより焼肉だろ普通!」
「焼肉は500円じゃねんだから諦めていつものラーメン食え!」
「えーーー!」
昼時だっつーのに俺らしか客がいない店内で、「嫌なら食うな!」って、顔見知りの店長の声が飛んでくる。
「超うめぇ!」ってわざとらしくラーメンをがっつきだす俺と瞬ちゃんの間で、大ちゃんは動じずにさっきと同じペースでラーメンをすすってる。
「ライスおかわり!」って言ったら、おかわりなんて受け付けてないのに大盛の茶碗が返ってくるこの店がなんだかんだで好きだから、かなりの常連。
まぁこんな感じだから、店長にはいつも怒られてばっかだけど。
「はぁ……焼肉……あず先輩」
「あずさと焼肉とか、やめれや。胃、もたれる」
「なんでだよ大ちゃん」
「あいつの食いっぷりに、想像胃もたれ」
「ははっ」
あず先輩と大ちゃんは、仲がいい。
というか、最初にあず先輩と友達になったのは大ちゃんのほうだ。
2年のクラス替えで同じクラスになった大ちゃんとあず先輩は、いつの間にか同じグループに属してて、2人を含む男女数人で一緒にいるところをよく見かけたりする。
瞬ちゃんは大ちゃんと同じ学年だけど、遠く離れた違うクラス。
だけど大ちゃんの周りをウロチョロしてるあず先輩と瞬ちゃんが知り合うのに、そんなに時間はかからなかった。
だって俺ら幼馴染だから、お互いの友達の名前や顔は大体把握してるし。
だからあず先輩から大ちゃんに「焼肉に行く」って浮かれたLIMEが届いても、全然変な関係とかじゃ──
「ん?焼肉?……って、ちっがーーう!今そんな話ししてんじゃねぇっつーの!」
「焼肉に食いついたのお前だろ」
「お前ぇら、はよ食えや。麺、伸びる」
「え、大ちゃん早っ。あーもう、店長もっかいご飯おかわり!」