どうしているの?ねぇ、先輩…
朝、みんなでご飯を食べたあと、それぞれの部屋で帰り支度を始めた。
時刻は10時30分。
仲良くなった田中くんたちに別れを告げて、私たちはイズミンの車に乗り込んだ。
「昨日あの野郎と話したんだけどね、熱を出した生徒がいたのは事実みたいなの。薬局もあの地図の通りに行っていれば本当にあったみたい」
「えっ、じゃああの野郎は悪くないってこと?」
「うーん、でもやっぱりあの道を七瀬1人で行かせたのは問題だから、校長先生に言って抗議することもできるけど」
抗議……って、大ごとにするってことだよね?
「大分怖い目に遭わされたんだから、先生としては抗議でも抗争でもなんだってする気は満々だけど」
「抗争って。やっぱレディースかよ」
「でもあの野郎、確か親が教育委員会の偉い人って言ってたよね」
「そんなん関係ない。話してダメなら手を出すのみ」
「おい教師!」
なんか、抗議する方向で話しが進んでるけど。
ダメ、抗議なんてしたら……絶対にダメ!
「とりあえず、帰ったらすぐ校長先生に連絡とって、」
「あの!」
運転中のイズミンの声を、後ろから前のめりになって慌てて止めた。