どうしているの?ねぇ、先輩…
2.先輩の彼女
「お、七瀬ー」
「……?」
翌日、瞬先輩の声が私を呼んだのは、2時間目の移動教室へ向かう途中。
上から聞こえた声に顔を上げたら、吹き抜けになっている2階から、私たちがいる1階を瞬先輩が見おろしていた。
「おはっ、おはざいます」
「おはざいまーす」
吹き抜けの手すりに両腕を置いて、瞬先輩は下を見ながら楽しそうに笑ってる。
「どこ行くのー?」
「お、おお音楽室です!」
「違うでしょ、美術室でしょ!」
「え、あれ?」
「はは、七瀬だけ音楽やんの?」
楽しそうに声を上げて笑う瞬先輩の周りには、友達がたくさん。
一緒に下を見下ろしている人や、背中を向けて談笑中の人。
噂通り、今日も沢山の友達に囲まれている。