どうしているの?ねぇ、先輩…
9.体育祭
<瞬side>
6月。放課後の学校は相変わらず賑やかで、目前に迫った体育祭にどの生徒も浮き足立って浮かれている。
賑わう校内の中、休憩しようと入った学食で、直人が友達数人と騒いでいるのが見えた。
「あ、瞬ちゃーん!」
俺に気づいた直人が、友達放置で駆けてくる。
こいつ、前から思ってたけど……
どんだけ俺のこと好きなんだ。
「サボり?」
「息抜き」
「うひゃひゃ、オヤジくせー」
目の前に座った直人から視線を外して、持って来ていたミルクティーのキャップを開けた。
「そーだ、直人。昨日の夜さ」
「うん?」
「大ちゃんから連絡きた」
「えっ」
昨日の夜、珍しく大ちゃんからメッセージが届いた。
たったの1行、「あずさとなんで別れたの?」って。
「で、なんて返したの?」
大ちゃんからのメッセージに対する返信を、スマホごと直人に見せた。
受け取った直人の最初の一言はこれだ。
「くそなっげ」
「……。」
確かに。
たった1行の大ちゃんのメッセージに比べて、俺の返信は何行だって感じだけど。
1行で全てを伝えるほどの文才は、俺にはない。
だからこんな長文を、大ちゃんに送った。