どうしているの?ねぇ、先輩…
「ちょ、なに人の精一杯の勇気笑ってんだよ!」
「だって、……ククッ、あはは、」
先輩と再会して、初めて笑えてる自分がいた。
しかも結構な大爆笑。
昔は私が笑われてばっかりだったのにな。
いつまでも笑う私に、「んだよ!」って機嫌を損ねる瞬先輩。
柔らかい春の風に吹かれながら、瞬先輩と、人生で2度目の連絡先交換をした。
「じゃあもう行くけど、病院で貰った薬、忘れないで飲んでね」
「はい」
「で、明日は仕事休んでゆっくり寝てください」
「はい」
「もしなんかあったらすぐに、」
「……」
「……」
「…?」
先輩がなにかを考えるように、黙り込んだ。
「先輩?」
「いや、ごめん。また連絡するからとりあえず今日はゆっくり休んで」
「はい」
「じゃあね」
じゃあねって手を振りながら、先輩が駅に向かって歩き出す。
その姿を見送りながら……
「…………瞬先輩」
絶対に聞こえたない声で名前を呼んだら、遠くで先輩が振り向いた。
もう1度手を振ってくれたから、私も大きく振り返す。
熱があるのに、口元がどうしたってニヤけちゃう。
春風の中、ニヤけ面のまま見上げた空は雲が広がって濁って見えた。
濁る空はキレイじゃないのに、それでもまたニヤけちゃうのは、今はきっと仕方ない。
これから先の先輩とのこと、先輩の現実にいる“あの人”のこと。
噛み合わないそんな2つのことを交合に考えながら、今日は眠りに落ちていった……