どうしているの?ねぇ、先輩…


ピンポーーン


ドキドキと、胸が鳴る。

あの頃、私の毎日の中に当たり前にいたみんなに、会えるから。


「お、いらっしゃい」

「飲み物、買って来たよ」

「サンキュ。って、2人一緒に来たの?」

「迷ってた七瀬さん見つけて、保護した感じ」

「あー。迷子になんの、美香の特技だもんな」

「違います!」

「ははっ」


ごっつ先輩に続いて、玄関に入る。

「お邪魔します」って頭を下げたら、「いらっしゃい」って言った瞬先輩が、開けて待っていてくれたドアを静かに閉めた。

慣れた様子で上がり込んだごっつ先輩は、1人先にリビングへ入っていく。


ストラップつきのパンプスにもたつく私を、瞬先輩がまた待ってくれている。

座り込んでストラップを外していたら、玄関に散らばるみんなの靴が視界に映った。

女モノの靴が、私の他に2足ある。


2足…?


にっしーだけじゃ、ないってこと…?

え、もしかして……この間の女の人も、いるってこと?


「どした?」

「いえ…」


パンプスを脱ぎ終わって、不安なまま先輩の後に続いて歩く。

どうしよう、やっぱり来るんじゃなかったかなって。

どうしよう、私やっぱり場違いなんじゃないかなって。

短い廊下で、一気に不安になっていく……


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