どうしているの?ねぇ、先輩…
「もう……もう我慢できん、俺も混ぜてー!!!」
「ぎゃっ、洋平先輩苦し……!!」
私たちにつられてもらい泣きしていた洋平先輩は、抱き合う女三人をまとめてぎゅっと抱き締めた。
そんな再会に笑いながら泣き続け、やっと落ち着いた頃……
「でもめぐちゃん、どうしてここに…?」
冷静になって、改めて思った。
会えたことはもちろん嬉しすぎるけど、瞬先輩からのLIMEの中に、めぐちゃんの名前はなかったから。
「にっしーがね、教えてくれたの」
「めぐもずっと心配してたから、これは呼ぶしかないと思って」
「私地元から遥々来たんだからね!そしてもう帰らなきゃなの!」
「え、鈴木さんもう帰んの?」
「はい、明日の仕事朝早いんです」
「うそ、ごめんねわざわざ」
「あー、いいのいいの。春田先輩の家に入れてラッキーってことで、チャラにしてあげる」
「そこは七瀬さんに会えたことでチャラにしてあげる、じゃないんだ?」
「ふふふ、女の本音はえげつないんですよ、郷津先輩」
「怖っ…」
それでもわざわざ会いに来てくれためぐちゃんに、やっぱりまた泣きそうになる。
帰るめぐちゃんを玄関に見送りに行ったら、2足あった女モノの1足をめぐちゃんが履いた。
あの人がいるかも、なんて怖気づいて帰らなくてよかった……
「じゃあ美香、またね」
「…うん」
「また遊びに来るから、もうどこにも消えないでよね!」
「…うん!」
手を振り合って、別れた。
あの日、手を振ることさえ出来なかった最後の日……
またねって言い合える今が、奇跡みたいだ。