どうしているの?ねぇ、先輩…
<直人side>
「瞬ちゃん、大ちゃん、おっはよー!」
朝、いつもの待ち合わせ場所で男3人が7時45分に集合。
自転車のペダルを勢い良く踏み出す俺に、瞬ちゃんは「左右確認しろ!」って、いつもみたいに説教を繰り返す。
いつもならうるさい瞬ちゃんは無視して、2人を置いて先頭を突っ走る俺だけど。
だけど今日は、違う。
瞬ちゃんの顔を見てたら、思い出すから。
昨日、美香が教室で泣いてたこと、思い出すんじゃん。
「直人、ちゃんと前見ろって。なんで俺の顔見んだよ」
「ねぇ瞬ちゃん」
「ちょ、大ちゃん、目ぇ半分閉じてるって」
「……ん、学校、着いた、?」
「着いてねぇよ」
「瞬ちゃんてば!」
「だからお前はちゃんと前見ろって!」
俺と瞬ちゃんの後ろをノロノロついてくる大ちゃんが、半分寝てるのはいつものこと。
朝、いつもの時間にいつもの3人で登校する、いつもの光景。
だけど今日は、俺の足が踏むペダル、いつもより相当のんびりしてる。
「ねぇ瞬ちゃん、真面目な話し」
「わかったから、前見て話せって」
言われる通り、前を見た。
俺らの話しになんて興味なさそうに、大ちゃんは相変わらずのそのそとついてくる。
「んで、なに?」
「なに、っていうか」
「うん」
「美香のこと」
「……七瀬?」
「昨日、美香となんかあった?美香、教室で1人で泣いてたんだけど」
「えっ」