どうしているの?ねぇ、先輩…
「なんでマフラー持って……まだ、秋」
「誰かの忘れ物。埃っぽいけど我慢して。薬は?飲んだの?」
「飲んだ……」
「じゃあ取りあえずはよしだね」
「……めぐちゃん」
「え、ちょっとなに涙ぐんでんの。具合悪いならマジで帰りなって」
「ぅう……めぐちゃ、……愛してる」
「はー?」
グレーのパーカーに、赤いマフラーがグルングルン。
咳がでるから顔半分はマスクで埋まってて、目はぼんぼんだから黒ブチメガネ。
どこの誰だかわからない私を見て、めぐちゃんが前の席でゲラゲラ笑ってる。
そんなめぐちゃんが好きすぎて泣けるのは、風邪で弱ってるからじゃない。
本当に、めぐちゃんが大好きだ……
「……冷たっ!」
突然、ツカツカと横にきた誰かが、私のおでこにぺシッ!っとなにかを貼り付けた。
「おっ、冷えピタじゃん。よかったね美香。でも章くん、なんでそんなの持ってんの」
おでこに貼られたのは、冷えピタ。
貼り付けたのは……章くん。