目が合ったその瞬間から
しばらく走り続けて私たちは私がさっきまでいたカラオケを通り抜けてひとつのマンションにたどり着いた。


「ねぇちょっと!!」


私がそう言うとやっと気づいてくれたのか、彼がこっちを見た。


「あぁごめん、」


彼の考えてることが全然わからない。なんで私を連れて来たのか、さっき追って来ていた人たちは何者なのか。


「ここはどこ?なんで私を連れてきたの?」


私は何故か冷静だった。


「ここは俺の二つ目の家。全然使ってないから綺麗だよ。君を連れて来た理由は俺もわかんないや。」

「綺麗とか汚いとかの問題じゃないです!」

「なに?知らない人にはついていっちゃいけないって?」

「そうです!」

「それなら大丈夫だよ。いやでもこれから知っていくことになるから。」


普通ならこんな人にはついて行かないだろう、いやこの人はかっこいいからついていく人もいるかもしれないが知らないおじさんについていく人はいないだろう。
でも私はこの人に着いて行こう、着いていくべきだ、そう思った。
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