強盗返し
 私はママの棺の前でひたすら泣きじゃくった。

「ママ、ママァ……」
「大丈夫?」

 棺に縋り付く私の肩に誰かが手を乗せて声を掛ける。振り向くとそこにはお姉ちゃんがいた。お姉ちゃんは少し目を赤くしていたが、涙を流していなかった。

「う、うん。これから3人で暮らしていくんだね……」

 私は涙を拭ってそう言うと、お姉ちゃんは眉間に皺を寄せた。

「3人? それは違うわ、これからは私とお父さんの2人で暮らすの」
「……え?」

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