自惚れヒーローに物申す!
校内で一番のイケメンと言われているヒーローが、ヒロインに啖呵を切られるシーンだ。まあ出会って早々キスするわ、ナルシスト発言を連発するわで、私としては全面的にヒーローが悪いと思う。
そんな自信だけはエベレスト級の残念イケメンがヒロインに対して言ったセリフがこれだ。
『ふっ、おもしれー女』
……いやもうシンプルに、どうしてこれが胸キュンなのか教えていただきたい。
「お、何だ。漫画か?」
「うわっ」
背後から手元を覗き込まれ、思わず飛び上がる。
いつの間にやらゲームを中断した鈴木先輩が、私の手から漫画を掻っ攫っていった。
真顔で少女漫画をまじまじと読み込む図がかなりシュールだ。
「そうだ。鈴木先輩、そのヒーローのセリフちょっと読んでくれません?」
名案だ、とばかりに手を叩いたチョコに、面食らってしまう。
彼女は私へ視線を移すと、にっこり微笑んで宣った。
「華がどうしても共感してくれないので。鈴木先輩が読んで下さったら、ヒーローのかっこよさが倍増すると思うんです」
「は!?」