自惚れヒーローに物申す!
「すみません、この茶番いつまで続きます?」
「山田華です。半年間お世話になりますが、どうぞよろしくお願いします」
リビングの片付けや掃除が終わり、私たちはダイニングテーブルで向き合っていた。
食事をとって休んだおかげか、鈴木さんは僅かながらに頬の赤みを取り戻している。
思えば、彼があまりにも自然に私の名前を呼ぶものだから、名乗るのをすっかり忘れていたのだ。
そうでなくともやはりきちんと自己紹介はしておくべきだろう、と思い至って、こうして姿勢を正している。
「俺は鈴木一太、火星人だ。よろしく」
「まだそのネタ引き摺るんですか」
さっきまで散々語っていたというのに、よくやるなあと半ば呆れた。
「ええと、私は四月から木原丘高校に通うことになっていて……」
だからこそ春休み中に体制を整えようとしていたのだけれど、まさか初っ端からこんな波乱があるとは。
とはいえ入学まであと一週間ちょっと。ようやく新しい生活を始められそうだ。
「ああ、それは聞いてる。ここから電車で一本だから、十五分もかからずに着くぞ」
「そうですか。良かった」