分岐点 ~幸せになるために
私を見る 毅彦の瞳に 私と同じ 戸惑いを感じて。
「あの… さっきのこと 気にしないで下さい。私 大丈夫ですから。」
メニューを選ぶ 毅彦に 私が言うと
「えっ?!」
毅彦は 顔を上げて 私を じっと見る。
「何食べる?」
「あっ。すみません…」
私 これから どうすればいいんだろう…
不安と 恐怖と 切なさで
私は 軽く唇を噛む。
「俺 チーズハンバーグのランチで。」
「あっ。私も 同じ物を…」
オーダーを取りに来た 店員さんが 戻ってしまうと
気まずい沈黙が 私達を包む。
毅彦は フウっと息を吐いて
「こういう時 ごめんって言うのかな?」
と 探るように 私を見る。
「えっ? そんな… 私 気にしてないですから。」
きっと 毅彦は 困っている。
そんな気もないのに キスなんか しちゃって。
私に 誤解されたと思って 後悔している。
「そんなに 何回も 言わないでよ。」
「あっ。はい… えっ?」
戸惑う私を見て クスッと笑って。
「俺達 縁があったのかな…」
「はぁ…?」
もし 私が 恋愛感情を 持ってしまったら…
困るのは 毅彦でしょう?
家庭が あるのだから。
「私 誰にも 言わないし。全部 忘れますから。」
必死で 平静を装って 言っているのに。
「簡単に 割り切れるの?」
毅彦は 優しい目で 私に 言うから。
泣きそうな気分に なってしまうじゃない。