分岐点 ~幸せになるために
私達は お互いのことも 少しずつ 知っていく。
毅彦の家族について 私からは 聞かないけど。
時々話す 毅彦の言葉で
私は 家庭での毅彦を 想像する。
毅彦は 私より11才上で。
結婚して 7年目。
5才の女の子のパパで。
奥さんも 仕事をしているらしい。
「早く帰って おうちのこと 手伝わなくていいの?」
私が 恐る恐る聞くと
「うちの奥さん、要領が良いから。俺の出る幕は ないの。」
と 毅彦は 苦笑した。
自分の位置付けさえ わからないのに。
奥さんのことを 気にするなんて 滑稽だけど。
もし 私が奥さんなら…
少しでも早く 帰ってきてほしいと思う。
家事も育児も 一緒にしたいって…
実際に 結婚したら そんなこと 思わないのかな。
私は 結婚したことが ないから。
夫婦とか 家庭に 憧れてしまうけど。
もし 自分の夫が 若い女の子と 食事をしていたら…?
すごく悲しいって 思うはず。
それなのに 毅彦から 誘われると
私は いそいそと 待ち合わせ場所へ 向かってしまう。
いつまでも こんなことしていたら いけないって
わかっているけど。
もう 私は 毅彦のことを
好きになっていた。