分岐点 ~幸せになるために
5
毅彦とは 週に一度くらい 会うだけで。
休日に出かけることも なかったから
私の生活は 以前と変わらなかった。
友達は 誰も 毅彦の存在に 気付かない。
同じ職場の 友達にも 学生時代の友達にも
私が 毅彦と付き合っていることは 言えない。
久しぶりに 高校時代からの親友 美知子と食事をした時
「何か 沙耶香 雰囲気 変わったね。」
と言われ 私は 少し驚いた。
「えっ? そうかな。どう変わった?」
「綺麗になったよ。大人っぽくなったし。彼氏できたんじゃない?」
「まさかー。できないよ。」
「そうなの? 私の勘 当たるんだけどなぁ。」
「残念でした。」
「でもさ。そろそろ 真剣に 彼氏ほしいよね?」
「えーっ。私は まだいいかな。面倒くさくない?」
「だって。私達 もう27才だよ。結婚だって そろそろ考えたいじゃない」
美知子の言葉に 私は 小さく ため息をつく。
私 結婚なんて できるのかな。
毅彦との関係を 止めて
別の人と 恋するなんて。
始めるときは そこまで 考えなかったけど。
やっぱり このままじゃ いけない…
私だって 薄々 気付き始めていた。