分岐点  ~幸せになるために

毅彦とは 相変わらず 週に一度くらい会い。


お互いに 何を望んでいるのか わからないまま。

それでも 離れられない関係を 続けていた。


毅彦は いつも優しかったし。

私も 毅彦を 困らせない。


” かりそめ ” の2人だから。


一緒にいる時が 楽しければ それでいい。


頼太のことを 私は毅彦に 話していなかった。


私にとって 頼太は 特別な存在じゃなかったし。

女友達と食事をするのと 同じ感覚だったから。



「あっ。頼太からだ。」

毅彦が 私の部屋にいる時 頼太からラインが届いた。

「んっ?誰?」

「弟の同級生。お正月に 実家で会ったの。頼太も こっちで就職してるから。」


私は 深く考えず 毅彦に話したけど。

毅彦は 少し 眉を寄せて 考える顔になった。


「会ってるの?」

「うん。時々ね。来週 食事するから。その連絡。」

「へぇ。」


「んっ? もしかして 毅彦さん ヤキモチ妬いてる?」

「いや… ヤキモチじゃないけど。友達のお姉さんと 食事するって。どういうつもりなんだろう。その子。」


「どうって… お姉さんみたいに 思っているんじゃない?」

「憧れのお姉さんか…」


「フフッ。まさか。」


帰り仕度をする 毅彦に コーヒーを淹れながら。


私は 毅彦の言葉が 妙に 胸に残った。


もしかして 頼太は 私を 女性として誘っている?


毅彦から 感じた 軽い嫉妬が

頼太の気持ちを 表しているようで。


でも私は まだ 毅彦の嫉妬の方が 嬉しかった。








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