分岐点  ~幸せになるために
10

別れたとは言え 毅彦は 私の上司だから。

会社に行けば そこに毅彦は居て。


もう二度と 会えないのなら。

自然に 忘れられるかもしれないけど。


『私 転職しようかな…』


毎日 毅彦に会うことは 辛い。


職場で 毅彦の 接し方は 何も変わらないけど。


こんな風に 目の前にいたら

私の気持ちが 切り替えられない。


「杉野さん。さっきのデータ オッケーね。」


毅彦は 何でもない様子で 声を掛けてくる。


『ねぇ。本当は 毅彦さんも こだわっている?』


聞けない気持ちは 言葉にすることもできなくて。


「はい。ありがとうございます。」


普通の顔で 返事をする私。



あの時 毅彦は ” どこへも行かないで ”って 私に言った。


それが 本心かなんて わからないけど。

きっと 毅彦だって 寂しいと思っているはず。


そう思わないと 今は 辛くて 寂しくて。


始める時は 何も 考えなかったけど。

悪い事をしたから… これが罰だね。







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