分岐点 ~幸せになるために
頼太は 若いから。
私よりも… もちろん 毅彦よりも。
もっと せっかちに 荒々しく 抱かれることを 想像していた私。
「頼太って 優しいね。」
「えっ? そうかな。」
「うん。すごく優しいよ。」
ベッドの中で くっついて話す。
「沙耶香だから、だよ。」
「頼太…」
今までだって 頼太から 愛されていると 思っていたけど。
私 本当に 大切にされている。
「嬉しい… ありがとう。」
「んんっ? 急に どうしたの?」
「ううん。すごく 幸せだから。」
「こっちこそ 嬉しいよ。沙耶香の 喜ぶ顔が…」
最後まで 言わずに 頼太の指は 滑り出す。
私 すごく愛されている。
そう思うことが 頼太への思いを 深める。
頼太… 私だって
頼太に 喜んでほしいし。
もっと 頼太を 喜ばせたい。
身体を重ねたことで 愛情が強くなって。
私は もう 頼太しか 見えない。