戦人を待つ【プロット】
第1話~第3話 あらすじ
第1話「鞘を待つ刃」
仕事に出かけるサヤと、それを見送るヤイバ。
ヤイバに残る一抹の寂しさ。
いつ帰るとも分からないサヤ。
ヤイバが1人で過ごす日々は、3日で終わる時もあれば、数か月に及ぶ時もあった。
畑仕事に精を出していると、あっという間に季節は巡る。
サヤは、意気揚々とお土産片手に帰ってくることもあれば、傷を作って倒れ込んでくることもあった。
手当てをする度に、顔を見る度に、思う。
「仕事、もうやめたら」
「なんで?」
「一緒に畑を見ようよ」
その提案には応えずに、商売道具の刀を研ぎながら、サヤは尋ねる。
「怒ってる?
あなたを放ったらかしにしていること」
「……君はよく頑張っていると思う。
だから、そんなことは言えない」
それでも、夢を見ないわけではない。
戦場よりは畑で、
いさかいよりは四季に身をゆだね、
人の血より稲穂の実りを、
2人で。
__________
第2話「凪いだ心」
真冬のある日、ヤイバの家に女傭兵のナギが訪ねてきた。
彼女はサヤと顔馴染みで、仕事を抜けられないサヤの代わりに、新しい髪留めを受け取りに来たのだった。
ヤイバはナギに、なぜ戦うのかと尋ねる。
ナギは生きるためだと答えたが、ヤイバは「戦って、憎むのは疲れる」と納得しない。
ほんの少し、会話を交わしただけだったが、ナギは戦場に戻ってからも、ヤイバの言葉を反芻していた。
いくつかの戦を経て、ナギは再び、ヤイバの畑へ向かう。
「その鍬を私に貸して。
刀は面倒臭い」
唐突に現れたナギに、ヤイバは快く鍬を渡す。
ナギは空と畑とヤイバを見た。
生きるために耕す。
それはとても単純で、良い心地がした。
__________
第3話「切っ先の感覚」
サヤは、ある依頼を終えた帰り道に、見知らぬ中年の男の襲撃を受けた。
「お前は、自分が何を斬ったのか分かっているのか」
そう呟いた男の目的は、仇討ち。
サヤが斬った人物の身内のようだった。
サヤは手負いのまま、なんとか追手を振り切り、ただひたすらに山道を駆ける。
帰りたい、その一心で走り続け、ぬかるみに足をとられた瞬間、ヤイバがサヤを抱き止めた。
「おかえり」
聞きたかった言葉に安心して、サヤは目を閉じる。
ヤイバから手当てを受け、数日、療養しながら、サヤは「自分が何を斬ったのか」考えていた。
敵を斬ったのか。
人を斬ったのか。
自分は何と戦っていたのか。
サヤの導き出した答えを、かつて傭兵だったヤイバは、神妙な面持ちで聞いていた。
仕事に出かけるサヤと、それを見送るヤイバ。
ヤイバに残る一抹の寂しさ。
いつ帰るとも分からないサヤ。
ヤイバが1人で過ごす日々は、3日で終わる時もあれば、数か月に及ぶ時もあった。
畑仕事に精を出していると、あっという間に季節は巡る。
サヤは、意気揚々とお土産片手に帰ってくることもあれば、傷を作って倒れ込んでくることもあった。
手当てをする度に、顔を見る度に、思う。
「仕事、もうやめたら」
「なんで?」
「一緒に畑を見ようよ」
その提案には応えずに、商売道具の刀を研ぎながら、サヤは尋ねる。
「怒ってる?
あなたを放ったらかしにしていること」
「……君はよく頑張っていると思う。
だから、そんなことは言えない」
それでも、夢を見ないわけではない。
戦場よりは畑で、
いさかいよりは四季に身をゆだね、
人の血より稲穂の実りを、
2人で。
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第2話「凪いだ心」
真冬のある日、ヤイバの家に女傭兵のナギが訪ねてきた。
彼女はサヤと顔馴染みで、仕事を抜けられないサヤの代わりに、新しい髪留めを受け取りに来たのだった。
ヤイバはナギに、なぜ戦うのかと尋ねる。
ナギは生きるためだと答えたが、ヤイバは「戦って、憎むのは疲れる」と納得しない。
ほんの少し、会話を交わしただけだったが、ナギは戦場に戻ってからも、ヤイバの言葉を反芻していた。
いくつかの戦を経て、ナギは再び、ヤイバの畑へ向かう。
「その鍬を私に貸して。
刀は面倒臭い」
唐突に現れたナギに、ヤイバは快く鍬を渡す。
ナギは空と畑とヤイバを見た。
生きるために耕す。
それはとても単純で、良い心地がした。
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第3話「切っ先の感覚」
サヤは、ある依頼を終えた帰り道に、見知らぬ中年の男の襲撃を受けた。
「お前は、自分が何を斬ったのか分かっているのか」
そう呟いた男の目的は、仇討ち。
サヤが斬った人物の身内のようだった。
サヤは手負いのまま、なんとか追手を振り切り、ただひたすらに山道を駆ける。
帰りたい、その一心で走り続け、ぬかるみに足をとられた瞬間、ヤイバがサヤを抱き止めた。
「おかえり」
聞きたかった言葉に安心して、サヤは目を閉じる。
ヤイバから手当てを受け、数日、療養しながら、サヤは「自分が何を斬ったのか」考えていた。
敵を斬ったのか。
人を斬ったのか。
自分は何と戦っていたのか。
サヤの導き出した答えを、かつて傭兵だったヤイバは、神妙な面持ちで聞いていた。