黒い花
経つ日はすぐに来た。
あれからライ様が手続きをしてくれて、ものの数日で矢白高校へ行くことになった。
今日がその出発の日。
そして、鏡には見慣れない制服を着た私の姿。
…見た目だけなら、普通の高校生と変わらないのだろうか。
そんなことが浮かんだが、自分の真っ黒なストレートヘアを見てそんな考えは一瞬で消えた。
──私は普通の高校生にはなれない。
深い闇に染められた瞳とストレートヘアが、他人の憎悪と血で汚れた*クロネ*を映している。
それでいいんだ、私は。
じゃないと表の世界で自分のことを知った後、ライ様のもとへ帰って来れなくなるかもしれない。
まぁ、そんなことはないけれど。
私は闇の中で、黒い花として生きると決めているのだから。