黒い花



そんなことを思いつつ、ライ様の部屋へと足を運んだ。

威圧感の強い大きな扉を開けた先に、机に寄りかかり微笑むライ様の姿があった。

「おはよう、みつ。」

「おはようございます。ライ様。」

上辺だけのような挨拶を交わし、ゆっくりと近づいてくるライ様。

「制服姿なんて貴重だね。似合ってるよ。」

そんな言葉はただのお世辞でしかないように、私を抱きしめる。

「自分から勧めておいて、会えなくなるのが寂しいなんてな。」

より一層きつく抱き締められ、本当に寂しいのかもしれないと思った。

…私も恋しいと感じるのかな。
あぁ、でも仕事がしたくはなる気がする。

きっと、高校生活なんてもどかしいだけだもの。
それでも私自身が成長するために、行くけれど。


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