黒い花
矢白高校
アジトからは*ヤツ*が送迎してくれる。
「おっキタキタ。…って制服じゃん!!新鮮だねぇ〜」
「……ムヨ。」
おチャラけた口調で話すヤツは──無陽。
主に後始末やら調べ物を担当していて、その道の腕前は黒花内でも上位に入るだろう。
よく私の仕事の前調べから後片付けをしてくれているから、まぁ…黒花の中では唯一の知り合いみたいなもの。
「ささっ、参りましょうか。花城あまねサン。」
面白そうにそう言いながら、執事さながらの手付きで車の扉を開けてくれる。
悪い人じゃないんだけど、ちょっとめんどくさい。
でも…そんな感想が思い浮かぶくらい、気を許している1人ではあるのだと思う。
「ん〜と、矢白高校までは約1時間半くらいかなぁ。割と掛かるからトイレとか何かあれば言ってな〜」
私は無言で頷き、それが合図のように車は矢白高校へと進み始めた。