黒い花
「おいで」
優しげな笑みを浮かべ、私の額に接吻するライ様。
眼差しは熱く、その手つきはまるで、とても大切なものを扱うように壊さないようにと感じられる。
そこに私の心は無くても、ライ様は私を愛してくれている。
特別に想ってくれる。
そして記憶の代わりに*クロネ*という名を。
失われた心に"仕事"をくれた。
私の空いてしまった部分を埋めてくれた。
…この人こそが、私の全て。
だから私は今日も明日も明後日も、この人に尽くし生かされる。そんな日々を送っていくのだろう。
……そう、この時の私は当たり前に思っていた。