黒い花
「そっか。」
私がそう答えると、ライ様は満足そうに微笑み私を抱き上げた。
そのまま私は客間まで運ばれ、ソファに降ろされた。
──…瞬間。
「クロネ。」
空気が、変わった。
ライ様がコードネーム、"クロネ"と呼ぶ時。
それは仕事の話をする時だ。
私はソファに座り直し姿勢を正す。
真っ直ぐに目が合うライ様はさっきと同じ人のはずなのに…
先程の優しく穏やかな雰囲気は影となり、冷酷な黒花のトップがそこにいた。
「高校に通いなさい。」
……え?
そんなライ様の口から出たのは思いもよらぬ言葉。
………こう、こう?
もちろん、私は高校には通える年齢の16歳。
いや、むしろ一般的には高校に通っているはずの歳。
でも私は、裏社会で生きていくものだと考えることなく選択していたし、ライ様に命じられ、義務教育の中学までで"学校に通う"というのは終了している。
だから、どういう意図があっての高校なのか。