黒い花



……あれ、?でも、なんで高校に通うことが自分自身を知ることに繋がるんだろう…。

色んなことが頭を回り、なかなか考えがまとまらない。

「どう?無くした記憶を取り戻したい?」

ライ様に聞かれ、いつもならすぐにお答えできるのに、何も言えない。

「……そうだね。僕が行けと言えば、みつねは絶対行くだろう。今までずっとそうしてきたからね。」

そう、ライ様の言う通り。
私は自分の選択を全てライ様に委ねてきた。

「でも、今回はみつねの意見が知りたいんだ。色々疑問は多いだろうが…さっきも言った通りこれは一種の試練。言い方を変えれば"君の成長の場"になる。」

真っ直ぐにそう伝えてくるライ様。

"成長の場"。過去を知り、本当の私となってもライ様に忠誠を誓えるか試されているのか。

でも、そうだ。そうなら初めから悩むことも疑問に思うこともない。
私は生涯この人に尽くすと決めている。
それが私の生きる意味になるから。

それは自分のことを知っても知らなくても変わらない。
……変わらないのなら───


「──高校、行きます。」

私がハッキリとそう答えると、ライ様は優しい笑みを浮かべた。


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