囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。
23話「王子、秘密バレる」
23話「王子、秘密バレる」
★★★
「バレた……絶対に気づいてた………」
地下の作戦室に戻ったラファエルは、服を脱ぎながらハーッとため息をついた。
シュリを抱きしめていた時に、彼女は震えていた。きっと、ラファエルの魔力に気づいたのだろう。シュリは日に日に魔力の使い方をマスターしていき、そして敏感になってきた。体の半分を占めている妖精の血がそうさせているのだろう。だからこそ、作戦実行で戦闘をしてきたラファエルの殺気に気づいたのだろう。
それに、ラファエルも迂闊だった。
いつものシュリならば、自分の魔力に全く気づかずにいたため、城の近くで自分に気づく事も出迎えてくれる事もなかった。気づいて出迎えてくれた事は嬉しいのだが戦いをしてきた事には気づいてほしくなかったのだ。
殺気だった、恐ろしい自分など、彼女には相応しくないと思ってしまうから。
彼女が「おかえり」と出迎えてくれた事が嬉しくて浮かれていたのだろう。
隠していた自分の負い目を、今さら思い出しては焦りを感じる。
シュリには気づかれたくなかった。
ラファエルは自分の手を見つめてそう強く思った。ラファエル自身には汚れて真っ黒に見える、手のひらが大嫌いだった。
「ラファエル様。先程保護したものはどうしますか?」
「あぁ。病院に連れていって、元気になれば帰していい。しばらくは、あまり出歩いて欲しくはないけれど……今度、様子を見に行ってみよう。どうしたいか聞いてみる」
「かしこまりました」
作戦室には、ラファエルとリトしかいない。
ラファエルが脱いだ服を片付け、新しい服を準備してくれる。リトは淡々としているが手際がいい。
身の回りの事をつい頼んでしまうが、彼は嫌な顔せずにやってくれる。とても助かっているし、頼りにしていた。