囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。
自分の中だけで考えていた事。
それをいざ言葉にして伝えるというのは勇気がいる事だった。しかも、それが今までやった事がないものならば尚更だ。それに、わざわざ異世界から呼ばれて物語だけを伝えるなんて、役立たずと言われてしまうのではないか。ラファエルはそんな事は言わないとしても、そう思われてしまうのではないか、という不安もあった。自分の鼓動が激しく鳴っている。返事がくるまで、呼吸も止まっているのではないかと思うぐらいに息苦しくなる。
けれど、それもラファエルの表情を見たら一気に和らぐのだ。
「シュリ、それはいい考えだね!きっと、みんなは喜ぶと思う。俺も協力をしよう」
彼は自分の事のように喜び、賛同してくれる。それが今の朱栞にとって何よりも嬉しいのだった。
ラファエルに相談してよかった、と心から思えた。