囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。




 そのランと呼ばれた妖精はラファエルに向けて手を振り落とした。その瞬間、部屋の中に雷が落ちた。まぶしいほどの真っ黄色の光りが溢れた。リトとアレイは咄嗟に目を瞑った。が、その時に「んっつ!」と、くぐもった声が聞こえた。それは誰か、すぐにわかる。


 「ラ、ラファエル様っ!」


 部屋の明かりは消え、真っ暗になる。リトはすぐに魔法で明かりをつける。と、中央に倒れているラファエルを見つけ掛けようとした。
 が、それを止める怒声が響く。


 「俺はいい。あいつを追えっ!」
 「ですが」
 「急所は外れている。早くいけっ!!」
 「はッ」


 妖精の魔法により、部屋の窓は割れ破壊されている。そこから飛び出て、すでに姿を消したセクーナをリトが追いかけた。
 ラファエルはリトの背中を見届けた後、苦痛の声を上げた。


 「アレイ、手当できるか?」
 「左肩が火傷を負ってる。うまく急所を避けたわね。まぁ、結構酷いけど」
 「いいから、早く手当してくれ。結構痛いんだ」
 「はーい。それにしても顔じゃなくて良かったわね。せっかくのイケメンに傷が出来たら、私も許さないんだから」



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