囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。
32話「妖精、再会する」
32話「妖精、再会する」
ここは夜なのだろうか。
もしかして、ラファエルが本当に夜にしてしまったのか。そう思ってしまうほど、薄暗い場所だった。
ホープと別れてから穂純を探していた朱栞はとある場所に行き着いた。そこには木々で覆われて古びた家があった。古すぎて誰も住んでいないと思われたこの家に、朱栞は目指していたようだった。
「やっぱり……ここで間違いないわ」
誰もいない家の中。
けれど、痕跡は確かにあった。そこには、天井や床に焼けた跡がある部屋があったので。それは火とわかるほど、焼け跡は限定的な場所のみにあったのだ。
そして、そこから昨夜聞いた爆発音の時に感じた魔力が微かに残っていたのだ。
「ラファエルは、ここで戦ったのね。彼の魔力も少し感じられる……」