囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。
彼が異世界でどんな生活を送っているのか、朱栞は心配で仕方がなかったが、それは杞憂だったようだ。彼は楽しんでいた。目新しい世界を、子どもが新しい玩具を与えられた時のように、目をキラキラとして。穂純の瞳にはキラキラと光っているようでいて、目の奥には夜が広がっているように感じられ、朱栞の体は冷えていくようだった。
やはり、ここに一人で来たのは間違えだった。国王が言っていた事は、本当だったのだ。朱栞の勘がそう伝えてくる。穂純から早く離れろ、と。
「朱栞は、ここに来たばかりの時は大丈夫だった?ハーフフェアリだったんだ、大変だっただろう」
「いえ、私は1番始めにラファエル様が見つけてくださったので、大丈夫でした」
「へー、王子様がね。それは、ラファエル様は、ラッキーだったね」
「え……」
朱栞がラッキーなのではなく、ラファエルが。それは、朱栞にとっては思ってもいない言葉だった。それは、朱栞をハーフフェアリとして価値がある、としか見てない、そう思っているという事だ。
やはり、穂純は妖精を価値があるものだと見ているのだろう。
朱栞は、小さく息を吐いた後、彼に本当に聞きたい事を話すことにした。
「……穂純さん。穂純は、昨晩ここに居ましたか?」
「どうして?」
「この部屋で昨日、魔法からの爆発があったの。そこで、ラファエルは攻撃されて負傷したの。だから、ここに私は来たの。穂純さんは、知ってますか?」
「朱栞は、魔力が高いね……」
「え……」
「自分より魔力が高い相手に勝つ方法は何か知ってる?」
「穂純さん、何を言って…」
「君より俺はこの世界に居る期間が長い。それに、魔法の知識も多い。それが勝因だよ」
「あ、れ………」