囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。
視界がくらりと周り、朱栞は体に力が入らなくなり、そのままソファに倒れ込んでしまった。
その後は急激な眠気に襲われて、朱栞は抵抗する暇もなく瞼が落ちてしまった。
「朱栞の敗因は俺を好きだった事だよ」
そんな穂純の言葉が耳元で聞こえた気がしたが、その時には朱栞はすでに夢の中だった。
★★★
最近は朝起きるのが楽しみだった。
シュリがシャレブレに来てからというものの、ラファエルの機嫌は毎日よかった。
彼女のためならば、彼女の隣に居るためには、どんな事でも出来る。冗談ではなく、本気でそう思っていた。けれど、そんな彼女は最近まで住む世界が違っていた。そのため、気を落としてしまう事も多かった。本当にシュリは自分を選んでくれるのだろうか。彼女の世界で、好きな人を見つけて結婚でもしてしまったらどうしようか。ずっと悩んでいた。
だからこそ、少し予定より早いが異世界に呼ぶ事にしたのだ。
ラファエルがもう待てなかったのだ。
けれど、やはり全てが終わってからにするべきだった。
自分のせいで事件が起こってしまった、と後悔する事になってしまった。
「ん………、だいぶ寝てしまったか。シュリ………?」