囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。
35話「妖精、目覚める」
35話「妖精、目覚める」
★★★
ラファエルは王子として育てられた。
それと同時に戦士とも育てられていた。
ラファエルは王位継承権はかなり低い。伝染病や他の国が攻めて来て、位が高い王子たちが全て死なない限り国王になる事はないだろう。それにラファエルは国王になることなど、全く興味がなかった。むしろ、王子にもなれるのだろうか。そんな風に思っていた。
妖精と共に空を飛び、自然の中でゆっくりと過ごす事が何よりも好きな、王子らしからぬ子どもだった。
けれど、強くなるのも嫌いではなかった。もともと運動神経はよかったのか、軍隊の訓練に同行すればラファエルは同世代では負けなしの強さになっていた。そのため、ラファエルが任された領地は、シャレブレでも犯罪が多い場所に決まったのだ。
妖精の密売。
今までは戦争ぐらいが問題とされていたが、犯罪がここにきて増えてきたのだ。
妖精との契約で、魔力が強いものと隠れて契約を結ぼうとする人々が集まってきたのだ。自然が多いこの領地には妖精が集まってくる事がわかっていたのだ。しかも、気候も温かい。妖精が好む果実も多い。それ故に、妖精も集まり、自分に合う妖精を探す人々も集まるようになっていたのだ。
そのため魔力が強い妖精を巡って争いも多くなっていた。
そのため、一定以上の魔力を持っている妖精との契約は禁止された。
が、今度は魔力ではなく容姿や珍しさで妖精を選ぶようになったのだ。
人間というのは、特別が好きなんだなっと、子どもであったラファエルは冷静に犯罪者を捕まえていた。